
表1・グラフ1は、「デザインの力」がとてもあると思う企業名を3つまで自由に記述してもらう「純粋想起」によるもので、1,060名から総数1,956件、名称数389件が挙り、その上位20社である。表2・グラフ2は、国内外の企業127社の社名を業種別でなく五十音順で先に例示し「デザインの力」が強い・高いと思うものを上から順に5つ選んでもらった「助成想起」で、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点で集計とし集計した上位20社である。
上記の結果、いずれの設問でも、ソニーとアップルが3位以下を大きく引き離し1位2位を独占していることがわかる。次いでトヨタ自動車が3位となり、この3社が現在の生活者にとっての「デザイン力 トップ3」と言える。
2つの異なる設問で両者ともベスト10にランクインしたのは、ソニー、アップル、トヨタの他、シャープ、資生堂、コカ・コーラの6社のみとなった。この6社は現在日本人が感じる「デザイン」を体現する企業であると言える。いずれも生活者にとって身近で幅広い支持を受け、ブランド力もある企業であると思われるが、デザイン力がブランドロイヤリティー向上や、企業価値アップに大きく寄与していることが推測される。
回答者には選択した企業に関し、2つの設問ともその理由を記述してもらったが、全ての理由記述の中でどのようなワード(単語)が用いられているか、その出現頻度を集計した。名詞では「デザイン/意匠」は当然最多となり、次に「商品/製品」となった。やはりプロダクトを通してのデザインが第一となった。個別商品名では「iPod(アップル)」「VAIO(ソニー)」が上位に挙っており、象徴する商品がその企業のデザイン力認知を大きく牽引していることがわかる。
次は「CM/広告/コマーシャル/宣伝」となり、デザインのパワー浸透には製品・サービスのアイデンティティと一体となった表現力の高いコミュニケーション活動が大きく影響していることがわかる。
また「シンプル」「斬新/独特/ユニーク」「イメージ/印象/雰囲気」が多く挙っており、これらがデザイン力の訴求には必須な要素であることが推測される。特に「斬新/独特/ユニーク」は、類する意味の「個性/独創/オリジナリティ」と合わせると出現頻度はとても高く、デザイン力の訴求の中でも特に重要な要素で
あることがうかがえる。
なお、製品ジャンルでは「パソコン/PC」「携帯/モバイル」のワードが多く出現しており、これらの製品群のデザインが企業選択の際にイメージされやすいこともうかがえる。
●(参考)2つの異なる設問形式の結果からわかること
「純粋想起」とは、何の与件もない状態で知っている企業名やブランドなどを調査対象者に思い出して回答してもらう方法。「助成想起」とは、選択肢など回答の手助けを先に与え回答してもらう方法。「純粋想起」の方が、調査対象者にとって困難な想起であり、純粋想起による回答は純度が高いと言える。
・「日産自動車」は純粋想起6位→助成想起16位と10位ダウンし、同様に「松下電器」は純粋想起5位→助成想起12位(7位ダウン)「サントリー」は純粋想起12位→助成想起20位以下、「マツダ」は純粋想起15位→助成想起20位以下と助成想起になると大きく順位がダウンした。3つまで自由に思い描く場合は、多数の人が名を挙げるが、他の選択肢を見てしまうと他社に変えてしまった結果であろう。これらの企業は「デザインの力」の観点で見た場合、認知度はとても高いが、深度がやや浅い位置づけにあるものと推測される。
・逆に、助成想起で順位が大幅に上がった企業は以下の3社である。「オリエンタルランド」 純粋想起20位→助成想起5位(15位アップ)、「ナイキ」純粋想起19位→助成想起7位(12位アップ)、「無印良品」純粋想起14位→助成想起4位(10位アップ)。この3社は圧倒的なデザインパワーはないが、他社と相対比較をすると日常生活での接点の多さや総合的なデザインのマネージメント力などが、順位を上げたものかと思われる。
・20位以下のため表中には掲載していないが、純粋想起の30位までに名が挙がったが助成想起では挙がらなかった企業に、「日立製作所」「NEC(日本電気)」「キリンビール」「三菱自動車」「東芝」「TOTO」「コクヨ」などがある。みな誰もが知っている有名企業であり、選択肢が何もない際は「大企業」とか「身近な商品が思いつく」ことなどから想起されたのであろうが、「デザインの力」の観点で他に多くの選択肢を見てしまうと、上位企業とは異なり、他の企業に回答を切り替えたものと思われる。これらの企業は、認知度は高いが、「デザインの力」で相対比較をされると優位性がやや低くなるポジションにあると推測される。
・同じく20位以下のため表中には掲載していないが、逆に助成想起の30位までに名が挙がったが、純粋想起では挙がらなかった企業は、「スターバックスコーヒー」「フェラーリ」「ポルシェ」「吉田カバン(吉田)」「東急ハンズ」「ワコール」「ダイソン」などである。真っ先に名前は出てはこないが、選択肢をみて「そうだった、これこそ」と思い返し浮上したケースかと思われる。これらの企業は、「デザインの力」の観点では、インパクトにはやや欠けるが、シンパシー度が高く潜在力があるポジションにあると思われる。
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